Mozillaは2025年10月15日(現地時間10月14日)、Windows、Mac、Linuxなどデスクトップ向けのWebブラウザFirefoxの定期的なメジャーアップデートとなる「Firefox 144.0」を正式リリースしました。

今回リリースされたMozillaのWebブラウザ最新バージョン「Firefox 144.0」では、以下の新しい機能や修正が行われています。
Firefox 144.0デスクトップ版リリースノート
新機能
- 乱雑になることなくグループ内の 1 つのタブにフォーカスできるようになった。アクティブなタブがビュー内に維持され、グループを折りたたんでもそのまま表示される。
- コミュニティからのトップリクエストであったタブグループの新機能。タブをドラッグして折りたたまれたタブグループに追加したときに、グループが自動的に展開されないようになった。
- 新しいプロファイルの管理 が数週間以内にすべてのユーザーに対して展開される。仕事、学校、休暇など目的に応じてプロファイルを使い分けることで、オンラインでのプライバシーを保護できる。プロファイルに名前を付け、アバターや色をカスタマイズすることで、どのプロファイルを使用しているか簡単に識別でき、ブックマーク、タブ、履歴などを完全に分離したまま素早く切り替えることができる現時点では、Windows 11、macOS、Linux のユーザーが利用可能である。Windows 10 のサポートも近日中に予定されている。
- ビデオを一時停止することなく ピクチャーインピクチャー のウインドウを閉じることができるようになった。閉じるボタンを
Shiftを押しながらクリックする、あるいはShift + Escを押すことで再生したままウインドウを閉じることができる。 - ローカルの パスワードマネージャー に保存されるログイン情報の暗号化アルゴリズムが、これまで利用されてきた古い 3DES-CBC からより近代的な AES-256-CBC に変更された。Firefox Sync で同期されるログイン情報はすでに AES-256-GCM によってエンドツーエンド暗号化されている。
- Google Lens による画像検索
画像を右クリックするだけで以下のことが可能となる:
✨ 類似する製品、場所、物体の検索
✨ 画像内のテキストのコピー、翻訳、検索
✨ 学習、旅行、ショッピングのためのインスピレーション右クリックメニュー内の新しい「Google Lens で画像を検索」 オプションから利用可能である
この機能は デスクトップ版のみの機能であり、既定の検索エンジンとして Google を選択している必要がある。 - Perplexity AI 検索
デスクトップ版に AI による検索エンジンである Perplexity が統合された。Perplexity は自然言語による情報検索が可能であり、複雑な質問に対しても簡潔な要約、正確な情報源が提示される。アドレスバーに統合された検索ボタンから利用可能である。 - 以下の言語の翻訳が可能となった:
- アゼルバイジャン語
- ベンガル語
- アイスランド語
修正
- 以下の言語の翻訳の品質改善:
- アラビア語
- ブルガリア語
- カタルーニャ語
- 簡体中国語
- スイス語
- オランダ語
- エストニア語
- フィンランド語
- フランス語
- ドイツ語
- ハンガリー語
- イタリア語
- 日本語
- ポルトガル語
- ペルシア語
- スペイン語
- ウクライナ語
変更
- Windows: ほかのアプリケーションからリンクを開くとき、現在の仮想デスクトップ上のウインドウのみを利用するようになった。必要があれば新しいウインドウが開かれる。
Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 144 リリースノート を参照されたい。
Developer
- スタイルルールにおいて、
var()関数から CSS のカスタムプロパティにジャンプできるようになった。 - インスペクターのイベントツールチップにおいて、カスタムイベントの横にバッジが表示されるようになった。ビルトインイベントとの区別が容易になる。
Web Platform
- Element.moveBefore API をサポート。
math-shiftcompact をサポート。- PerformanceEventTiming.interactionId をサポート。関連するインプットイベントをグループ化でき、Interaction to Next Paint (INP) レスポンシブメトリックのサポートを可能とした。
commandおよびcommandforアトリビュートをサポート。- View Transitions API Level 1 をサポート。
- ハードウェア WebRender による linear-gradient、conic-gradient、radial-gradient にディザリングを適用。
- upsert proposal をサポート。
MapおよびWeakMapにgetOrInsertおよびgetOrInsertComputedメソッドが追加される。 - Windows タブレット、Android デバイスにおいて ScreenOrientation インターフェイスの
lock()およびunlock()メソッドをサポート。 - RTCDataChannel の worker transfer をサポート。
resizeModegetUserMedia 制約をサポート。- Windows: WebGPU GPUDevice.importExternalTexture API をサポート。
- Windows: WebCodecs が VideoEncoder のためのバッチエンコードパスを保持するようになった。
- Gecko 固有の
CSS2Propertiesの名称をCSSStylePropertiesに変更。最新のウェブ標準に準拠することでほかのブラウザーとの相互運用性を向上。
セキュリティ修正
今回のアップデートでのセキュリティ修正は合計14個で、重要度別の区分では重要度区分「高(high)」7件、「中(moderate)」6件、そして最も低レベルの「低(low)」1件の修正が行われています。
重要度「高」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-11708: Use-after-free in MediaTrackGraphImpl::GetInstance()
- CVE-2025-11709: Out of bounds read/write in a privileged process triggered by WebGL textures
- CVE-2025-11710: Cross-process information leaked due to malicious IPC messages
- CVE-2025-11711: Some non-writable Object properties could be modified
- CVE-2025-11714: Memory safety bugs fixed in Firefox ESR 115.29, Firefox ESR 140.4, Thunderbird ESR 140.4, Firefox 144 and Thunderbird 144
- CVE-2025-11715: Memory safety bugs fixed in Firefox ESR 140.4, Thunderbird ESR 140.4, Firefox 144 and Thunderbird 144
- CVE-2025-11721: Memory safety bug fixed in Firefox 144 and Thunderbird 144
重要度「中」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-11716: Sandboxed iframes allowed links to open in external apps (Android only)
- CVE-2025-11717: The password edit screen was not hidden in Android card view
- CVE-2025-11712: An OBJECT tag type attribute overrode browser behavior on web resources without a content-type
- CVE-2025-11718: Address bar could be spoofed on Android using visibilitychange
- CVE-2025-11713: Potential user-assisted code execution in “Copy as cURL” command
- CVE-2025-11719: Use-after-free caused by the native messaging web extension API on Windows
重要度「低」のセキュリティ修正情報
- CVE-2025-11720: Spoofing risk in Android custom tabs
Firefox 144.0 についての一般的な情報は リリースノート を、開発者向けの情報は MDN および Mozilla Developer YouTube チャネル を参照されたい。
注意事項
▶︎Security Vulnerabilities fixed in Firefox 144 — Mozilla
「Firefox 144.0」は、Windows, Mac そして Linux向けがリリースされており、すでにFirefoxがインストールされている場合にはメニュー「Firefoxについて」から、あるいはMozillaWebサイトよりダウンロードいつでもアップデートすることができます。Firefox 144.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 144.0 システム要件 を参照してください。また、延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 140.4.0 および 115.29.0 がリリースされています。
Mozillaは、6~8週間隔で新しいFirefoxのバージョンをリリースしています。Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップ向け次期メジャー・アップデート版「Firefox 145」は現地時間2025年11月11日(火)のリリース予定となっています。






